*禁忌*
-#1-



陽気も春めいた昼下がり、とある公園に向かい足を進めていました。

ただ・・・隣で私の表情を見て楽しむのは、夫でも・・義父でもありませんでした・・・私のことを買い取った男でした。




【呪縛〜鎖〜】




「どんな気分だい牝?」


私のことをあの人はそう呼びました・・・。
彼が会社で何をしてるか、どんな人なのか、私には解りかねることなのですが、たしかなのは・・・彼が私の買い主だと言うことでした。




私の心には売られた女と云うより、買われた女としての事実が鎖として束縛してくるのです。


妻でも無ければ、愛人でも無い・・・ましてや女でも無い・・・ただの欲求を処理する道具・・・それが私でした。




「この季節はいいな。
コートだけでも寒く無い・・・だろ?」


そう・・・膝上丈のコートの下は、一切何も付けていなかった。
ただ許されたのは太ももまでの黒いレースのストッキングのみ・・・。
マタニティー用のコートでも無いので、自ずとその丈は短くなっていました。


腹帯も許されず、8ヶ月のお腹を抱えながら、ゆっくりと歩きました・・・ただでさえ目立つ容姿に加え、妊娠しているお腹は注目を集め、あちらこちらから視線を浴びました。








お願いそんなに見ないでください・・・








そう思えどそれは通じることは無く、注目を集めながら公園へと辿り着きました。
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