乱
-21-
「もう飲んでしまいましたよ。」
「ええ!?」
男は大袈裟に後ずさりして驚いて見せた。顔には引き吊った笑みが見える。相変わらずふざけた姿勢は変わらないが、驚いているのは本当のようだった。
作戦成功。
結局、今回もオレの身体は絶頂を知らないままでまた終わった。
放尿シーンも撮影したいと言った男を、まだ尿意はないからと振り切り、後腐れなく別れた。
……報酬は、千円札一枚だった…
オレは、自分の中でなにかが分かれるのを感じながら、いつもの道を新宿駅まで歩いていた。
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