*禁忌*
-#1-


インターホンの鳴る音・・・。
あれから1ヵ月は過ぎたとある昼間・・・その音は我が子がお昼寝をする横で、うたた寝をしていた私を呼び起こしました・・・。


『はい、○○で・・・!!』




【獣〜罠〜】




モニターに映し出された姿に、寝ぼけ眼が血走りました。


「こんにちは○○美晴さん。
探しましたよ・・・いいとこのご婦人だとは前々から思っていましたが・・・ご実家も素晴らしい邸宅で・・・。
最近こちらのマンションに引っ越しなされたみたいで、随分探すのに苦労させられましたよ・・・奥さん・・・中に入れてくださいますよね?」








『○さん・・・私はもう・・・こういうことは辞めたのです・・・。
夫とこの子の為にも、普通の家族としての幸せを見付けたいと思っているのです・・・。
お願いします・・・帰ってください・・・。』


私はこの時すでに間違いをおかしていました・・・。家や本名を知られたことで気持ちが動転し、○氏をお家にあげてしまっていたのです。




「そうですか・・・私は貴女にお約束した快楽を楽しんでいただきたかっただけなんですが・・・まさかご迷惑をかけているなどとは・・・。」




長い沈黙が続きました。私は心の中で○氏が早く帰ってくれることをひたすら願いながら、それに耐えていました。




「世間は・・・せまいものですよ・・・奥さん・・・では失礼・・・。」


その言葉にどんな意味があったのか・・・その時は知るよしもありませんでしたが、私は静けさと平穏を取り戻した室内で、しばらく呆然と立ち尽くしていました。
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