*禁忌*
-#2-
「いや〜○○さんの奥さんは綺麗だし、プロポーションも良くって羨ましいなぁ〜(笑)
うちのとは大違いだ(笑)
こうやってお酌してもうと、どっか高級なクラブにでも来た気分だよ(笑)」
よく聞けば、褒めたはずの言葉がどこか卑猥に聞こえるが、それは私の感性がそうしているのでしょうか・・・。
私はお酌もそこそこに、肴を造ろうとキッチンに立ったけれど、本当の理由は違いました。
ひょっとしたら臭いがするのでは・・・そのことが大半を占めていたけれど、もう一つ・・・夫の性癖がひょんなことで出ないことを望んだからでした。
夫の隠された性癖・・・妻を他人に辱められたい。
簡素に言えばそうなるが、そこには何十にも重なる歪んだ性があるのだろう・・・私も形は違へども、同じ様な部分があるから・・・よくわかる。
ある意味・・・究極に近い、<masochism>なんだろう。
だからと言って、妻の立場からそれを素直に受け入れることは出来ない・・・。
夫もそれを妄想の世界に留め、決して強要はしなかったのだが、お酒が入りすぎるとその保証は低くなることがわかっていました。
『あなた、あまりお酒がすぎると身体を悪くしますよ・・・。』
とうとうスコッチにまで手を付けた夫を諫めようと、優しく訴えるけれどこの時・・・すでに遅かったのです。
「お前は、取引先の部長さんの前で俺に恥をかかす気か?」
私にそう吐き捨てた夫を、失礼なことに来客者であるはずの年配の男性が、諫めてくださいました。
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